分散・標準偏差の計算
入力
| 計算の種類 | 標本 |
|---|---|
| データ値 | 4, 8, 15, 16, 23, 42 |
結果
| データ数 | 6 |
|---|---|
| 平均値 | 18 |
グラフ
分散・標準偏差の計算
カンマ区切りの数値から分散と標準偏差を計算します。標本(n−1)と母集団(n)の公式を即時切り替え可能。
入力
結果
正規分布曲線
分散と標準偏差とは
分散は、データが平均値からどれだけ散らばっているかを表す指標で、各値と平均値の差(偏差)を2乗した値の平均として定義されます。標準偏差は分散の平方根で、元のデータと同じ単位に戻した散らばりの尺度です。どちらも値が大きいほどデータのばらつきが大きいことを示します。
データのまとまり全体(母集団)を対象とするか、その一部を抽出した標本を対象とするかで分母が変わり、母集団では n、標本では n−1 で割ります。この計算機はカンマ区切りの数値から、次の統計量をまとめて表示します。
- データ数(n) — 入力した値の個数
- 平均値(x̄) — 算術平均
- 偏差平方和(SS) — Σ(xᵢ − x̄)²:分散の計算に共通して使う値
- 分散 — 標本は SS ÷ (n−1)、母集団は SS ÷ n
- 標準偏差 — 分散の平方根
データ欄にカンマ区切りの数値を入力し、標本または母集団モードを選択します。以下では既定のデータ 4, 8, 15, 16, 23, 42 を用いて、各統計量の求め方を順に示します。
計算式
平均値
偏差平方和
SS は両方の分散公式の分子です。データが平均値からどれだけばらついているかの合計を表します。
母分散・母標準偏差
標本分散・標本標準偏差
計算例:4, 8, 15, 16, 23, 42
ステップ1 — 平均値を求めます。
ステップ2 — 各値の偏差平方を求めます。
| xᵢ | xᵢ − x̄ | (xᵢ − x̄)² |
|---|---|---|
| 4 | −14 | 196 |
| 8 | −10 | 100 |
| 15 | −3 | 9 |
| 16 | −2 | 4 |
| 23 | +5 | 25 |
| 42 | +24 | 576 |
| SS | 910 |
ステップ3a — 標本統計量(n = 6)。
ステップ3b — 母集団統計量(n = 6)。
ベッセルの補正:なぜ n−1 で割るのか
標本から分散を求める場合、平均値 x̄ は測定対象と同じデータから計算されます。そのため標本の各値は、真の母平均 μ よりも x̄ に近く集まりやすい性質があり、n で割ると母分散を過小評価することになります。
19世紀にフリードリヒ・ベッセルが指摘したこの問題の解決策が、分母を n−1 にする「ベッセルの補正」です。n−1 で割ることで s² は母分散 σ² の不偏推定量になります——つまり多数の標本を平均すると真値に収束します。「失われた1つの自由度」は、x̄ と n−1 個の値が決まれば残りの1個が自動的に確定し、新たなばらつきの情報を持たないことに対応しています。
直感的な確認:σ² = 100 の母集団から大きさ2の標本を何千回も取り出した場合、SS/n の平均は50付近になりますが、SS/(n−1) の平均は100に近づきます。この補正の効果は n が小さいほど大きく、n が数百以上になると n と n−1 はほぼ等しくなり、両公式の結果はほぼ一致します。
標本と母集団の使い分け
| 状況 | 選択 |
|---|---|
| 集団の全員のデータが手元にある | 母集団(÷ n) |
| 大きな集団から一部を抽出したデータ | 標本(÷ n−1) |
| n が非常に大きい(数千以上) | どちらでも可(結果はほぼ一致) |
母集団の例: ある学期における特定の生徒の5回のテスト全成績。1レースにおける特定ドライバーの全ラップタイム。
標本の例: 成人の身長の分散を推定するために無作為抽出した100人のデータ。工場の生産ライン10,000個のうち品質検査を行った50個の測定値。
手元のデータが母集団の一部か全体かが判然としない場合は、標本分散を選ぶのが統計的に保守的な選択です。母集団全体に関する不確実性を見込んだ推定になります。
標準偏差が伝えること
標準偏差(σ または s)は元のデータと同じ単位で表されるため、ばらつきの大きさを最も直感的に把握できる指標です。たとえばテストの標準偏差が8点なら「得点のほとんどは平均の前後8点の範囲に収まる」と読み解けます。
正規分布では次の経験則が成り立ちます。
| 範囲 | 含まれるデータの割合 |
|---|---|
| μ ± 1σ | 約68% |
| μ ± 2σ | 約95% |
| μ ± 3σ | 約99.7% |
この法則は非正規分布には厳密には当てはまりませんが、外れ値の目安として広く利用されています。平均から2σ以上離れた値は外れ値の候補として調査する価値があります。学校の成績処理や製造業の品質管理(QC)の現場でも、この基準はよく使われます。
分散の単位は2乗になる
分散はデータの元の単位の2乗で表されます。身長(cm)のデータなら分散は cm²、金額(円)なら円² です。この扱いにくさから、実務では分散をそのまま報告することはほとんどなく、元の単位に戻る標準偏差が使われます。
天気予報の気温のばらつき、投資リターンのリスク指標、製造業における寸法の管理幅——いずれも標準偏差が主役で、分散は計算の中間段階として位置づけられます。
よくある質問 (FAQ)
標本分散と母分散は、どちらを使えばよいですか?
データが大きな集団から抽出した一部であれば、標本分散(n−1で除算)を使います。たとえば、全校生徒500人のうち30人の身長を測定した場合は標本分散が適切です。一方、母分散(nで除算)を使うのは、集団全員のデータが手元にある場合のみです。たとえばバスケットボールチームの5人全員のスコアや、特定クラス全員の成績などがこれにあたります。迷ったときは標本分散を選んでおくのが統計的に無難です。
標本分散でn−1で割るのはなぜですか?
標本の平均値は、測定対象となった同じデータから計算されます。そのため標本の各値は、真の母平均μよりも標本平均x̄に近く集まる傾向があり、nで割ると母分散を過小評価してしまいます。n−1で割るベッセルの補正を加えることで、この過小評価を補い、不偏推定量になります。「失われた自由度」は、x̄とn−1個の値が決まれば残り1個の値が自動的に決まるという事実に対応しています。サンプルサイズが大きくなるほどn−1とnの差は小さくなり、両者の結果はほぼ一致します。
分散の単位は何になりますか?
分散は元のデータの単位の2乗になります。身長(cm)のデータなら分散の単位はcm²、金額(円)のデータなら円²です。この単位の扱いにくさが、標準偏差(分散の平方根)がよく使われる理由です。標準偏差は元のデータと同じ単位に戻るため、直感的に解釈できます。テストの点数の標準偏差が8点なら「得点のほとんどは平均±8点の範囲に収まる」と説明できます。
標準偏差とzスコアの関係は何ですか?
zスコアは「ある値が平均からいくつ分の標準偏差だけ離れているか」を表す指標で、z = (x − μ) / σ で計算します。標準偏差は距離の「ものさし」の役割を果たします。z = 1なら平均より1標準偏差だけ大きく、z = −2なら平均より2標準偏差だけ小さい値です。正規分布では約68%のデータが±1σ以内に、約95%が±2σ以内に収まります。|z| > 2の値は外れ値の候補として注目する価値があります。