ブラック・ショールズ・オプション価格計算
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| オプション種別 | コール |
|---|---|
| 原資産価格 | 100 ドル |
| 行使価格 | 100 ドル |
| 満期までの期間 | 0.5 年 |
| ボラティリティ(年率) | 25 % |
| 無リスク金利 | 4 % |
| 連続配当利回り | 0 % |
ブラック・ショールズ・オプション価格計算
欧州型コール・プットオプションの理論価格とデルタ・ガンマ・ベガ・セータ・ローの5つのグリークスを計算します。
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結果
値を入力すると計算結果が表示されます。
オプション価格
グリークス
ブラック・ショールズ・モデルとは
オプションとは、原資産を一定の行使価格で売買する「権利」を売買する金融契約です。 その権利が理論的にいくらの価値を持つのかを求めることが、オプション価格理論の中心課題です。 ブラック・ショールズ・モデルは、フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズが1973年に発表し(同年ロバート・マートンが連続配当利回りへの拡張を行った)、解析的(クローズドフォーム)な解を与えた歴史的モデルです。 原資産価格・行使価格・満期までの期間・ボラティリティ・無リスク金利の5つを入力するだけで、理論オプション価格と5つのグリークスが求められます。
ブラック・ショールズ式
モデルは原資産の価格が幾何ブラウン運動に従うと仮定します。 この仮定と裁定不可の議論から、欧州型オプションの公正価値を与える偏微分方程式が導かれ、その解は次のとおりです。
コールオプション:
C=Se−qTN(d1)−Ke−rTN(d2)プットオプション:
P=Ke−rTN(−d2)−Se−qTN(−d1)ここで:
d1=σTln(S/K)+(r−q+σ2/2)T,d2=d1−σT各記号の意味は次のとおりです。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| 原資産の現在価格(スポット価格) | |
| 行使価格 | |
| 満期までの期間(年) | |
| 連続複利の無リスク金利 | |
| 連続配当利回り(マートン拡張) | |
| 対数リターンの年率ボラティリティ | |
| 標準正規分布の累積分布関数(CDF) |
と の直感的な意味
はコールが満期にイン・ザ・マネーとなるリスク中立確率です。 はドリフト調整が加わった「デルタ加重確率」であり、コールのデルタが となる理由です。
コール価格の式を言葉で読むと、「将来の原資産期待値(配当利回りで割引)×満期に行使価格を超える確率」から「行使価格の現在価値×権利行使確率」を引いたものと解釈できます。
計算例
設定: 現在株価1,000円(またはドルベースで$100相当)、行使価格も同額、残存期間6ヶ月、年率ボラティリティ25%、無リスク金利4%、無配当。
- $S = 100$、$K = 100$、$T = 0.5$、$r = 0.04$、$q = 0$、
- 、
プットコールパリティから、対応するプット価格は約6.03となります。
グリークスの解説
グリークスとは、各入力値に対するオプション価格の感応度を表す指標群です。 主要なものはデルタ・ガンマ・ベガ・セータ・ローの5つで、それぞれ原資産価格・ボラティリティ・時間・金利の変化に対する反応を示します。
デルタ(Δ)— 価格感応度
デルタは原資産が1単位上昇したときのオプション価格の変化量です。
- コールのデルタ:0〜+1の範囲。ATMコールのデルタはおよそ0.5。
- プットのデルタ:−1〜0の範囲。ATMプットのデルタはおよそ−0.5。
デルタはオプションがイン・ザ・マネーで満期を迎えるリスク中立確率の近似値でもあります。 デルタ0.7のコールは、リスク中立測度のもとで約70%の確率でイン・ザ・マネーになることを意味します。 実務では、デルタをもとにヘッジ数量を決めます。デルタ0.5のコール100枚を持つ場合、原資産50単位のショートで「デルタニュートラル」なポートフォリオを構築できます。
ガンマ(Γ)— デルタの変化率
ガンマはオプション価格の原資産価格に関する2階微分です。原資産が動いたときにデルタがどれだけ変化するかを示します。 ガンマはATM・満期近接時に最大となり、デルタが0近辺から1近辺へ急激に変化するのはこの状態です。
ガンマはロングオプション(コール・プットとも)で常に正の値を取ります。 「ロングガンマ」のポジションは相場の大きな動きから方向を問わず利益を得ます。 「ショートガンマ」のポジション(マーケットメーカーに多い)は急な相場変動で損失が加速します。
ベガ(ν)— ボラティリティ感応度
ベガはインプライドボラティリティが1%ポイント上昇したときのオプション価格の変化量です。 ベガが0.28の場合、ボラティリティが25%→26%に上昇するとオプション価格は0.28上昇します。 ベガはロングオプションでは常に正—コールもプットも、原資産の変動幅が大きくなると価値が高まります。
ベガはATMで残存期間が長いオプションほど大きくなります。 深くイン・ザ・マネーまたはアウト・ザ・マネーのオプションや、残存期間の短いオプションではベガは小さくなります。 カレンダースプレッド(ロング遠限月・ショート近限月)はロングベガの代表的な戦略です。
セータ(Θ)— 時間的価値の減少
セータは他の条件が一定のまま1日経過したときのオプション価格の変化量(時間的価値の減少)です。 セータはロングオプションでほぼ常に負—満期が近づくにつれ時間的価値が失われていきます。
このツールでは365日割りで暦日あたりのセータを表示しています(252取引日割りを使うテキストもあります。スケールは変わりますが符号は同じです)。 セータの減少は満期直前に加速します。ATMオプションは最初の半年よりも最後の1ヶ月でより急速に時間的価値を失います。
ロー(ρ)— 金利感応度
ローは無リスク金利が1%ポイント上昇したときのオプション価格の変化量です。 コールのローは正(金利上昇で行使価格の現在価値が下がり、コールを保有するコストが下がるため)、プットのローは負です。
短期の株式オプションではローはデルタやベガに比べて小さい影響にとどまります。 残存期間の長い長期オプションや、金利差が価格の主要な決定要因となる通貨・債券オプションではローの重要性が増します。
モデルの前提と限界
ブラック・ショールズは複数の簡略化した前提に基づいています。これらの前提を理解することで、モデル価格が信頼できる状況とそうでない状況を判断できます。
ボラティリティ一定の前提
モデルはボラティリティを固定の入力値として扱います。しかし実際には、インプライドボラティリティは行使価格によって異なり(ボラティリティ・スマイル)、満期によっても変化します(期間構造)。 深くアウト・ザ・マネーのプットは、暴落リスクへの需要を反映して、ATMオプションより高いインプライドボラティリティで取引されることが一般的です(ボラティリティ・スキュー)。 ブラック・ショールズはすべてのオプションが同一の平坦なボラティリティ曲面に存在すると仮定しており、この点で現実と乖離します。
欧州型のみ対応
ブラック・ショールズは満期日のみ行使可能な欧州型オプションの評価式です。 満期前いつでも行使できるアメリカン型オプションは、状況によっては早期行使が合理的になります(深くイン・ザ・マネーのプット、配当落ち日前の高配当株のコールなど)。 無配当株のアメリカン型コールは早期行使が合理的でないため、欧州型コール価格と一致します。プットの場合は常に早期行使価値が存在します。 アメリカン型の評価には二項木(CRRモデル)・有限差分法・ロングスタッフ・シュワルツ法(モンテカルロ)などの数値計算が必要です。
対数正規分布の仮定(ジャンプなし)
モデルは連続的な対数正規分布リターンを仮定し、価格の急騰・急落(ジャンプ)を考慮しません。 しかし実際の株価リターンは、決算発表・日銀政策決定会合・地政学リスクなどにより急激に変化することがあり、ファット・テール(裾の厚い分布)を示します。 ジャンプ拡散モデル(マートン1976、Kou2002)や確率的ボラティリティモデル(ヘストン1993)はこの問題を追加パラメータで対処します。
連続取引・取引コストなしの仮定
モデルの導出では、デルタヘッジを摩擦なく連続的にリバランスできることを前提とします。 実際にはビッド・アスク・スプレッドや手数料が存在するため、離散的な間隔でのヘッジしか現実的ではありません。 このため、特に残存期間が短いATM近傍のオプションでは、マーケットメーカーがブラック・ショールズの理論価格より高い価格を提示するのが一般的です。
主な活用場面
オプション価格評価: 取引執行前に、モデル価格と市場価格を比較してオプションの割高・割安を判断します。 市場価格から求めたインプライドボラティリティが自分の予想より高ければ、そのオプションは割高と判断できます。
インプライドボラティリティの計算: 市場価格を与件としてブラック・ショールズの式を逆向きに解き、インプライドボラティリティを求めます。 日経VIはこの手法で算出される30日物日経225オプションのインプライドボラティリティ指数です。
ヘッジ比率の計算: デルタ・ガンマ・ベガを使って、特定のリスクを中立化するために必要な原資産とオプションの保有量を決めます。
ストックオプションの評価: 国際財務報告基準(IFRS 2)や日本の会計基準に基づくストックオプション費用計上では、ブラック・ショールズ式が広く用いられます。
よくある質問 (FAQ)
ブラック・ショールズ式とは何ですか?
フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズが1973年に発表したモデルで、欧州型オプションの理論価格を解析的に求める式です。ボラティリティ一定・金利一定・取引コストなし・連続取引可能という前提のもと、デルタヘッジポートフォリオに裁定なし条件を課すと価格が一意に定まります。
コール価格はC = S·e^(−qT)·N(d₁) − K·e^(−rT)·N(d₂)、プット価格はP = K·e^(−rT)·N(−d₂) − S·e^(−qT)·N(−d₁)です。N(·)は標準正規分布の累積分布関数、d₂ = d₁ − σ√Tはリスク中立確率と対応します。マートン(1973年)拡張により連続配当利回りqが導入されました。
デルタとは何ですか?オプション取引でどう使いますか?
デルタ(Δ)は原資産が1単位上昇したときのオプション価格の変化量です。たとえばコールのデルタが0.6の場合、原資産が1円(または1ドル)上昇するとオプション価格はおよそ0.6単位上昇します。デルタはオプションがイン・ザ・マネーで満期を迎える確率の近似値でもあり、ATMコールのデルタはおよそ0.5です。プットのデルタは負—デルタが−0.4のプットは原資産が1単位上昇するごとに0.4単位価値が下がります。実務ではデルタをもとにヘッジ比率を計算します。たとえばデルタ0.5のコール100枚を保有する場合、原資産50単位のショートポジションを建てると「デルタニュートラル」になります。
ベガとガンマの違いは何ですか?
どちらもオプション取引で重要な感応度ですが、測定対象が異なります。ベガはインプライドボラティリティが1%ポイント変化したときのオプション価格の変動量です。ベガが0.28の場合、ボラティリティが25%から26%に上昇するとオプション価格は0.28上昇します。一方ガンマは、原資産が動いたときにデルタがどれだけ変化するかを示す2階微分です。ガンマが大きいと、原資産の小さな動きでデルタが大きく変わります。「ロングベガ」のポジションはボラティリティ上昇から利益を得ます。「ロングガンマ」のポジションは方向を問わず原資産の大きな動きから利益を得ます。満期が近づくほどATMオプションのガンマは急増し、ヘッジコストが高まります。
なぜブラック・ショールズでアメリカン型オプションを評価できないのですか?
アメリカン型オプションは満期前のいつでも権利行使が可能なため、「満期まで保有する」という前提に基づくブラック・ショールズ偏微分方程式では正確に評価できません。特に深くイン・ザ・マネーのプットや、配当落ち日直前の高配当株のコールでは早期行使が合理的になる場合があります。アメリカン型の評価には二項木(CRRモデル)・有限差分法・モンテカルロ法(ロングスタッフ・シュワルツ法)などの数値計算が必要です。なお、無配当株のアメリカン型コールは早期行使が合理的でないため、ブラック・ショールズの欧州型コール価格と一致します。プットの場合は常に早期行使価値が存在します。
インプライドボラティリティ(IV)とは何ですか?
インプライドボラティリティ(IV)とは、ブラック・ショールズモデルの理論価格が市場の実際のオプション価格と一致するように逆向きに解いて求めたボラティリティ値です。市場参加者の将来ボラティリティに対する合意予測を反映しており、需給・リスクプレミアム・テールリスクへの需要も織り込まれています。
代表的な指数として、米国のVIX(S&P 500オプションの30日物IV)や日経平均ボラティリティ・インデックス(日経VI、日経225オプションの30日物IV)があります。オプショントレーダーはIVがヒストリカルボラティリティより高ければ「オプションが割高」と判断する基準として使います。
免責事項
このツールはブラック・ショールズ・マートンモデルに基づく欧州型オプションの理論価格を計算するものです。同モデルはボラティリティ一定・金利一定・取引コストなし・対数正規分布リターンを前提としており、実際の市場ではボラティリティ・スマイルや価格ジャンプなどによりこれらの前提が成立しない場合があります。計算結果は参考情報であり、投資判断の根拠とする場合は証券会社・ファイナンシャルアドバイザーなど専門家にご相談ください。本ツールは金融商品取引法上の投資助言ではありません。