手取りから源泉徴収税を求める(額面・源泉税の早見)
入力
| 報酬区分 | 原稿料・講演料・デザイン料 等(所法 204-1-1) |
|---|
手取りから源泉徴収税を求める(額面・源泉税の早見)
手取り額と報酬区分を入力すると、請求書の額面と源泉徴収税額を割り出します。原稿料・講演料・弁護士/税理士等の100万円超累進、司法書士の1万円控除に対応(復興特別所得税込み)。
入力
手取り額と報酬区分
結果
値を入力すると計算結果が表示されます。
詳細
報酬区分「原稿料・講演料・デザイン料 等(所法 204-1-1)」・希望手取り ... を受け取るには、額面 ... で請求し、源泉徴収税 ...(実効 ...)が差し引かれます。
根拠と注意事項
シナリオ
現在の入力を保存すると、複数シナリオを並列表示して比較できます。
手取り額から請求書額面を求める
手取りからの額面の割り出しとは、受け取りたい手取り額から、源泉徴収税を差し引く前の請求書額面を求める計算です。フリーランス・個人事業主が報酬を受け取るとき、実際の振込額は 「請求書の額面 − 源泉徴収税額」 になります。手取り額をあらかじめ決めている場合、額面はこの関係を逆に解いて求めます。報酬区分ごとに税率と控除が異なるため、区分に応じた算式で計算します。
源泉徴収の基本式
支払者は、報酬を支払う際に所得税を天引きして国に納めます。フリーランス側が受け取るのは天引き後の手取り額です。
手取り=額面−源泉徴収税額源泉徴収税率は、報酬区分ごとに復興特別所得税 2.1% 込みで以下のように決まっています。
| 報酬区分 | 税率(復興込み) | 控除 |
|---|---|---|
| 原稿料・講演料・デザイン料など | 100 万円以下 10.21% / 超過部分 20.42% | なし |
| 弁護士・税理士・会計士・社労士など | 100 万円以下 10.21% / 超過部分 20.42% | なし |
| 司法書士・土地家屋調査士・海事代理士 | 一律 10.21% | 1 万円 |
| その他 10.21% 区分(通訳・モデルなど・簡易扱い) | 100 万円以下 10.21% / 超過部分 20.42% | なし |
ケース1: 100 万円以下の単純なケース
額面が 100 万円以下の単純なケースでは、税率は 10.21% の 1 段階です。
手取り=額面×(1−0.1021)これを額面について解くと:
額面=1−0.1021手取り=0.8979手取り例: 手取り 100,000 円を受け取りたい場合
- 額面 = 100,000 ÷ 0.8979 ≒ 111,371 円
- 源泉徴収税 = 111,371 − 100,000 = 11,371 円(額面の 10.21%)
請求書には「111,371 円(うち源泉徴収税 11,371 円)」と記載し、クライアントは差し引きの 100,000 円を振り込みます。
ケース2: 100 万円超の累進ケース
額面が 100 万円を超えると、超過部分にのみ 20.42% が適用されます。月額ではなく 1 回の支払額 で判定する点に注意してください。
源泉徴収税=1,000,000×0.1021+(額面−1,000,000)×0.2042これを手取りについて整理すると:
手取り=額面×(1−0.2042)+102,100額面について解くと:
額面=1−0.2042手取り−102,100=0.7958手取り−102,100ここで 102,100 円は 「100 万円までの 10.21% 源泉 (102,100 円) を、20.42% で再課税した分を戻すための固定控除」 にあたります(速算控除額の考え方)。
累進判定の閾値: 単純式と累進式が一致するのは額面 = 100 万円のときで、このとき手取り = 1,000,000 × 0.8979 = 897,900 円。手取りが 897,900 円を超えるなら累進ケースで計算します。
例: 手取り 1,000,000 円を受け取りたい場合
- 額面 = (1,000,000 − 102,100) ÷ 0.7958 = 897,900 ÷ 0.7958 ≒ 1,128,299 円
- 源泉徴収税 = 1,128,299 − 1,000,000 = 128,299 円
検算: 1,000,000 × 0.1021 + (1,128,299 − 1,000,000) × 0.2042 = 102,100 + 26,198 ≒ 128,298 円。実効税率は 128,299 ÷ 1,128,299 ≒ 11.37%(単純ケースの 10.21% より高い)。
ケース3: 司法書士・土地家屋調査士・海事代理士
司法書士・土地家屋調査士・海事代理士の報酬は、「支払額 − 1 万円」に 10.21% を掛ける という独自ルールです。100 万円を超えても累進せず、一律 10.21% のままです。
源泉徴収税=(額面−10,000)×0.1021手取りの式に変形すると:
手取り=額面−(額面−10,000)×0.1021=額面×0.8979+1,021額面について解くと:
額面=0.8979手取り−1,021例: 司法書士に登記を依頼して、手取り 50,000 円を受け取りたい場合
- 額面 = (50,000 − 1,021) ÷ 0.8979 = 48,979 ÷ 0.8979 ≒ 54,548 円
- 源泉徴収税 = (54,548 − 10,000) × 0.1021 ≒ 4,548 円
弁護士・税理士・会計士など他の士業とは扱いが異なるため、請求書では依頼業務の区分の取り違えが過誤納付につながります。
10.21% になる理由(復興特別所得税)
本則の所得税率は 10%(100 万円超部分は 20%)ですが、2013 年以降は東日本大震災の復興財源として 復興特別所得税 が所得税額の 2.1% 上乗せされています。
10%×1.021=10.21%20%×1.021=20.42%復興特別所得税は 令和 19 年(2037 年)まで 課税される時限措置です。それ以降は税率が 10% / 20% に戻る予定ですが、改正がない限り 2026 年現在は 10.21% / 20.42% で計算します。
源泉徴収義務者
源泉徴収して国に納めるのは 支払う側 です。
- 法人(株式会社・合同会社・NPO 法人など): 必ず源泉徴収義務あり
- 常時 2 人以上の従業員に給与を払う個人事業主: 源泉徴収義務あり
- 従業員のいない個人: 報酬の支払いに対する源泉徴収義務 なし
したがって、従業員のいない個人クライアントが原稿料や講演料を払うときは、源泉されないので額面 = 手取り での請求になります。源泉徴収の有無が不明な場合は、事前に支払者へ確認するのが確実です。
消費税の扱い
報酬と消費税を 区分明記 している請求書(例: 「報酬 100,000 円 + 消費税 10,000 円 = 合計 110,000 円」)では、源泉徴収は 税抜額 に対してかけることが認められます。区分なしで「110,000 円(税込)」とだけ書くと、源泉は税込額にかかります。
本ツールは消費税の税込・税抜を区別しない汎用計算なので、入力金額がどちらを指すかはご自身でご判断ください。一般的にフリーランスの請求では、税抜の報酬額に対して源泉を計算する書式が広く使われています。
源泉徴収された分は確定申告で精算
源泉徴収はあくまで 所得税の前払い です。確定申告で年間の所得税額を確定させた結果、源泉済み合計が大きければ 還付、足りなければ追加納付になります。経費が多くて課税所得が低い個人事業主は、源泉徴収分の還付になるケースが多いです。
確定申告書には、支払者から受け取った 支払調書 または自分の請求書控えで源泉徴収税額を集計して記載します。支払者には支払調書の発行義務がない取引もあるため、請求書ベースで源泉額を管理しておくと集計が確実になります。
スコープ外
本ツールはフリーランス報酬の源泉徴収からの 額面の割り出し に特化しています。次の計算には対応していません。
- 給与所得者の月額源泉(甲欄・乙欄税額表に基づく月次徴収)
- 退職所得の源泉徴収(退職所得控除後の 1/2 課税)
- 外交員報酬の月 12 万円固定控除
- ホステス・コンパニオン報酬の 5,000 円 × 営業日数控除
- 法人への支払い(原則として源泉対象外)
- 源泉徴収票・支払調書の作成
- 住民税・事業税・消費税の納付額計算
これらが必要な場合は税理士や所轄税務署にご相談ください。
よくある質問 (FAQ)
なぜ源泉徴収は 10.21% で 10% ではないのですか
所得税法上の本則は 10%(100 万円超部分は 20%)ですが、2013 年以降は東日本大震災の復興財源を確保するため 復興特別所得税 が所得税額の 2.1% 上乗せされています。10% × 1.021 = 10.21%、20% × 1.021 = 20.42% が実効税率です。復興特別所得税は 令和 19 年(2037 年)まで 課税される時限措置です。
100 万円超の累進はいつ適用される?
原稿料・講演料・弁護士報酬などは「同一人に対する 1 回の支払額が 100 万円を超える部分」に 20.42% が適用されます(所法 205 条 1 号)。月額で計算するのではなく、1 回の支払ごと に判定する点に注意してください。例えば月 80 万円の顧問料を年 12 回支払う場合は、毎回 80 万円 × 10.21% = 81,680 円で全期間 10.21% にとどまります。同じ年に 1 回 150 万円を支払う場合は、100 万円までが 10.21%(102,100 円)、超過 50 万円が 20.42%(102,100 円)の計 204,200 円が源泉されます。
司法書士に依頼したら、なぜ計算式が違うの?
司法書士・土地家屋調査士・海事代理士の報酬は、「支払額 − 1 万円」× 10.21% という独自ルール(所法 205 条 2 号・同令 322 条)です。1 回 1 万円までの少額報酬は実質非課税扱いとなり、100 万円超でも累進せず一律 10.21% です。弁護士・税理士・会計士・社労士などの「士業」の報酬とは扱いが違うため、依頼業務の区分を間違えると過誤納付になります。
源泉徴収は誰がするの?クライアントが法人なら必ず?
源泉徴収義務者は 支払者 です。法人や、常時 2 人以上の従業員に給与を払う個人事業主は源泉徴収義務があります(所法 204 条・183 条)。一方、従業員のいない個人クライアントが原稿料や講演料を払うときは源泉徴収不要 です。フリーランス側は受け取った時点で「源泉されているか」をクライアントに確認するのが確実です。本ツールはあくまで「源泉される前提」での計算なので、源泉されない取引では額面 = 手取りで請求してかまいません。
源泉徴収された分は戻ってくる?確定申告との関係は?
源泉徴収は所得税の 前払い です。確定申告で年間の所得税額を確定させた結果、源泉された合計額の方が大きければ 還付、足りなければ追加納付になります。経費が多くて課税所得が低い個人事業主は、源泉徴収分が還付になるケースが多いです。確定申告書には源泉徴収税額をクライアントから受け取った 支払調書(または自分の請求書控え)で集計して記載します。
免責事項
スコープ外: 給与所得者の月額源泉(甲欄・乙欄税額表)、退職所得の源泉徴収(退職所得控除後の 1/2 課税)、外交員報酬の月 12 万円固定控除、ホステス報酬の 5,000 円 × 営業日数控除、外注先が法人の場合(原則として源泉対象外)、源泉徴収票・支払調書の作成、住民税・事業税・消費税の納付。これらが必要な場合は税理士や所轄税務署にご相談ください。